経理の仕事の1日の流れを知りたい!仕事の内容を簡単に説明しながら紹介。
経理は業界・業種問わず、すべての企業で必要な職種です。人気の高い職種ながら、会計知識や事務能力など、幅広いスキルが問われます。
そんな経理ですが、1日に行う業務は多岐にわたります。就職・転職にあたって、事前に仕事内容をおさえることが大切です。
本記事では経理の1日の流れについて、仕事内容を説明しながら紹介します。
目次
経理の主な業務
経理は会社のお金の管理や、会計取引の記録などを行う職種です。会社のお金に関する業務全般を任されます。
一言でお金に関する業務といっても、仕事内容はさまざまです。主な業務について詳しく解説します。
現預金の管理
現預金の管理は、経理の基本的かつ重要な業務です。
現金の管理としては、入出金を現金出納帳に記録しつつ、実際の残高が合っているかを確認します。必要に応じて従業員に現金を渡すほか、現金を使って備品などを購入するのも、経理の役割です。
預金の管理では、預金口座の入出金から、不明な取引がないかを確認します。最近はネットバンキングでチェックするケースが増えています。
現預金の入出金管理は、会計帳簿をつける際に大きな意味を持つポイントです。
仕訳入力・帳簿作成
仕訳入力や帳簿作成のように、会計取引を記録するのも、経理の代表的な業務のひとつです。
仕訳入力や帳簿作成は、会計ソフトを使って行うケースが多くみられます。
借方・貸方それぞれの勘定科目および金額を設定し、仕訳登録をすれば記帳されます。
また最近は、ネットバンキングやクレジットカードと連動し、自動で仕訳入力ができる会計ソフトも多いです。
しかし必ずしも正確とは限らないため、自動入力された仕訳を確認し、必要に応じて修正も求められます。
仕訳や帳簿作成は、その後の決算書作成にも大きく関係します。
また財務状態・経営成績をチェックする書類作成にもつながるため、非常に重要な業務です。
請求書の管理・発行
請求書の管理・発行も、経理が担当するケースが多いです。
企業によっては一般事務や総務が携わることもありますが、請求書を使った支払いや取引先からの入金完了などは経理が行います。
請求書は自社内で完結するものではなく、取引先・発行先にも影響します。
そのため適切に管理しないと、その後の関係に悪影響を及ぼすリスクが高いです。
請求書の管理・発行は特別難しい業務ではありませんが、重要性が高いです。
従業員の経費精算
従業員の経費精算も、主に経理が行います。企業によっては人事労務の担当者が行うこともあります。
経費精算のやり方としてよく見られる方法は以下の3種類です。
- 立替経費を規定の書式に記録して領収書などと併せて提出、給与と一緒に振り込む
- 立替経費を規定の書式に記録して領収書などと併せて提出、給与とは別のタイミングで振り込む
- 立替経費が発生したら経理に報告、会社にある現金などですぐに精算する
立替経費の精算方法に厳格なルールはありません。ただし原則として、会社で一度採用した方法を続けることが大切です。
各種支払い対応
各種支払い対応も経理の業務です。請求書管理と似た部分がありますが、納付書や払込書で行う支払いもあります。
事業活動や経営を進めるうえで発生する支払いの数は非常に多いです。
必要な支払いについて書類を適切に管理し、支払い期日までに納付する必要があります。
期日の遅れや支払い漏れは大きなトラブルにつながる恐れがあるため、絶対に避ける必要があります。
このように経理は、お金に関する細かな業務まで行う職種です。
そのほか月次業務・年次業務
日常的に発生する業務以外に、毎月特定のタイミングで発生する月次業務や、年に1回の年次業務などもあります。
まずは主な月次業務です。
- 給与計算・給与支払い(人事労務が行うケースも有)
- 毎月発生する取引の請求書作成
- 月次決算
- 売掛金・買掛金のチェック
- 源泉税納付(従業員10人未満の場合は半年に1回でも可)
続いて年次業務です。一言で年次業務といっても、発生する時期は業務によって異なります。
- 棚卸(決算期)
- 決算書作成(決算期)
- 法人税・消費税の納付(決算期)
- 年末調整(11月〜12月)
- 法定調書作成(12月〜翌年1月)
そのほかにも固定資産に関する業務や、資金繰り関係など、経理に任される業務は膨大な種類・量です。
経理の仕事の流れを紹介
一般的な日
まずは月次業務・年次業務がない、一般的な日の流れです。
経理はデスクワークが中心であり、多くの業務の順番に特別な決まりはありません。
優先順位や業務量などを考慮しながら、臨機応変に対応します。
会社によりますが、決まった流れが存在するというよりは、経理担当の人がやりやすい流れで進めるケースが多いです。
ただし銀行振込や窓口対応などは受付時間が決まっているため、午前中やお昼過ぎといった早めの時間に対応が必要です。
会社の規模や抱えている業務の内容にもよりますが、ごく一般的な日は定時で終わるようなケースが多くみられます。
月末など特定のタイミング
月末月初や給与支払い日の前など、月次業務が発生するタイミングは忙しくなりがちです。
多くの会社は月次業務を優先的に進める、もしくは月次業務が発生する日に合わせて日次業務を終わらせます。
月次業務は日常的とはいえないものの、毎月同じように発生するため、比較的調整しやすい業務です。
具体的な仕事の流れは会社によって異なりますが、一定のルールや進め方に沿って業務を行います。ややイレギュラーな日ですが、混乱や残業などはそれほど多くありません。
決算期
決算期は会社にとって、もっとも忙しいタイミングといえます。経理も同様に、決算期は特に忙しくなりやすいです。
決算期には決算整理仕訳として、以下のような対応を行います。
- 振替仕訳
- 仮払金・仮受金の修正
- 減価償却
- 経過勘定の仕訳
製造業や小売業であれば、棚卸資産に関する仕訳も必要です。
決算整理仕訳が終わり帳簿が確定したら、決算申告書の作成を行います。申告書の作成は税理士に代行依頼をする、もしくはサポートを依頼する会社も多いです。申告書が完成し納税額が確定したら、期日までに納税を行う必要があります。
1日の流れとして、とにかく決算関連業務が中心です。仕訳や帳簿作成などの日次業務は後回しにするケースも珍しくありません。業務量によっては残業も発生します。
決算関連の業務は量が多いうえ、期日が厳格に定められています。通常どおりに日次業務・月次業務も行う必要があるため、特に忙しい時期です。
その他特に忙しい日とは
月末月初や決算期以外にも、経理業務が多い時期は存在します。
まず年末年始は、どの会社でも経理が忙しい時期です。
11月あたりから年末調整の準備を始め、源泉所得税の計算を行います。
そして12月もしくは1月の給与と一緒に過不足を精算し、源泉徴収票も発行する必要があります。
1月には法定調書の作成も必要です。法定調書は翌年1月末までに提出する書類であり、書き方に細かなルールが定められています。
会社によっては、償却資産に関する書類の作成・提出も必要です。
このように年次業務の時期は、経理が忙しくなりがちです。
決算期と同様に、年次業務を優先させます。
まとめ
経理は会社のお金に関する幅広い業務を行う職種です。
日次業務だけでも種類が多く、優先順位や期日を考慮しながら幅広い業務を進める必要があります。
一般的な日であれば、定時までに終わるような業務量です。
しかし決算期や年次業務が発生するタイミングは業務量が大幅に増えるため、普段よりもかなり忙しくなります。
日次業務・月次業務も通常どおりに発生するなかで、1日の流れを細かく計画しつつ業務を進める必要があります。
一言で経理の流れといっても、会社によって違いが大きいです。
そのため経理業務の内容や種類をある程度把握し、そのうえで会社のやり方に合わせて進めることが大切です。
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