デジタルトランスフォーメーションの課題は?現在のデジタルトランスフォーメーションの課題について解説。
経団連がSociety5.0を目標に掲げ、2021年9月には内閣にデジタル庁が発足するなど、国全体としてデジタル化する動きが高まっており、デジタルトランスフォーメーション(以下DX)の重要性が広く認識されつつあります。
ただし、いざDXを進めるとなった際に、具体的にどのような課題があるか明確になっていないという方も多いのではないでしょうか。
この記事を読むことで、DXの実施にあたって課題となるポイントを確認し、DXについての理解を深めることが出来ます。
目次
DXについて
DXとは、一般的には「デジタル技術を使って社会や生活をより良くしていくこと」です。これは局所的にデジタルツール・ITを導入して、古いシステムを刷新することではありません。デジタルツールを使うことはあくまでその手段に過ぎないのです。
DXの本質についてはこちらの記事をご覧ください
正しく理解したいDX~激しい変化に対応するためのデジタル変革の意義とは~
DXにおける課題① 具体的な経営戦略の設定
前述の通り、DXはビジネスモデル全体を見直すこと、企業文化・風土を変えることを指します。
したがって、組織をどのように変革させるかが掲げられておらず、目標や指針がない場合には、当然、具体的な行動に落とし込むことが出来ません。
経営トップが中心となって目標を掲げ、社内全体を巻き込んで進捗させる必要があります。
DXは以下の通り大きく2種類にわけるすることができます。組織全体として目標を設定する際の考え方として参考にしてみてください。
守りのDX(業務効率化、働き方改革など)
守りのDXは、主に社内を対象にしています。
例えば、RPA(提携業務のロボット化)やEDI(企業データ交換)の導入による業務プロセスの効率化や、テレワークの導入などの働き方改革に関連するものが「守りのDX」に該当します。
これらは売上の向上に直接寄与するものではありません。
従来人間が手を動かす必要があった煩雑な作業や、通勤に要していた時間を削減し、より生産的な業務をするための時間を捻出する効果があります。
また、生産性の向上によって、従業員のモチベーションの向上にも繋がります。
このような効果によって、間接的に収益拡大に貢献します。
攻めのDX(製品・サービス開発など)
攻めのDXは、主に顧客を対象にしています。
顧客に提供する価値向上のための活動が「攻めのDX」です。
市場のニーズを収集するためにWebのアンケートを使うこと、自社ブランドを訴求するためにHPを改修すること、顧客との接点を増やすためにWeb展示会に出展することなど、様々な価値向上の方法が考えられます。
Amazonが2019年に実店舗を開店しましたが、実はこれも攻めのDXに当てはまります。
オンライン上にあったものをオフライン化しているため、形式的にはアナログ化ですが、オンラインとオフラインを繋いで顧客に新たな価値を提供するという本質的な意味において、攻めのDXに当てはまる面白い事例です。
DXにおける課題② DXを推進することが出来るIT人材の確保
社長が中心となってDXを推進することは大前提ですが、現場で進捗させるために、ITツールの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用する担当者を置く必要があります。
この人材を確保するためには、3つの方法があります。
1つ目は、社内の従業員をIT人材として育成する方法です。
既存の社員をDX 推進担当とした場合は、日々のオペレーションや、各組織の課題点をおおよそ把握できているというメリットがあります。
ただし、DX関連知識の習得がその担当者に任せきりになりやすいという面に注意が必要です。
2つ目は、新たな人材を社員として採用する方法です。
既にDX実務担当として実績のある外部人材を採用します。
これには、既存の社員に対して教育するコストと時間を最小限に押さえるメリットがあります。
ただし、総務部門・営業部門・開発部門など、組織全体の業務プロセスを横断的に理解させる必要があるため、背景情報の共有に工夫が必要です。
3つ目は、外部のパートナーと提携する方法です。
スポット的にDXサポートを専門家に外部委託することで、DXに対する投資費用を一時的なものに留めることができます。
サポートを受ける期間で社内にノウハウが蓄積されるように留意しましょう。
DXにおける課題③ DXを進めるにあたって必要な資金の確保
DXを進めるにあたり、外部の専門業者の活用が必要不可欠です。
HPの構築、既存システムの改修、プロモーションなどにも一定程度の費用が必要になります。
DXは効果金額を明確にすることが難しいため、投資の意思決定をするのは簡単なことではありません。費用負担を軽くするために、国の補助金制度を利用する方法があります。
2021年12月現在利用できる補助金として、代表的な2つの事例を紹介します。
①IT導入補助金
IT導入補助金は、業務の効率化や売上向上を目指す事業者に対して、IITツール導入経費の一部を国が補助する仕組みです。補助金額は最大450万円で、中小企業と小規模事業者を対象としています。
②中小企業デジタル化応援隊事業
ECサイトの構築やキャッシュレス決済の導入などの、一定の要件を満たす支援提供を行ったIT専門家に対して事業者が支払う報酬のうち、一部を事務局が負担する制度です。最大3,500円/時間(税込)が補助されます。
これらの他にも、DX推進に使える制度はその時々で多数存在します。最新情報をチェックして自社にあった制度を活用しましょう。
DXにおける課題④ セキュリティの問題
DXを進めるにあたり、セキュリティの問題を避けて通ることはできません。顧客情報の漏洩などによって、重大な問題に発展する場合があります。 情報セキュリティ対策を始める際は、下記のような考えやすいところから手を付けてみることをオススメします。
- OSやソフトウェアは常に最新の状態にする
- ウイルス対策ソフトを導入する
- パスワードを強化する
- 共有設定を見直す
- 脅威や攻撃の手口を知る (“情報セキュリティ”)
まずはこれらのポイントを押さえるところから始めてみましょう。
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まとめ
今回の記事では、DXを進める際にどのような組織でも課題となりやすい4つのポイントについて解説しました。その組織がDXを通じて何を実現したいかによって、その課題は細分化されていきます。
自分達の課題を適切に把握して、それに対応した施策を練るようにしましょう。
参考文献
情報セキュリティ白書 2021独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
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