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BPaaSとは|BPO・アウトソーシングとの違い、バックオフィスを変動費化する新しいモデル

BPaaSとは|BPO・アウトソーシングとの違い、バックオフィスを変動費化する新しいモデル

繁忙期は人手がいくらあっても足りない。でも閑散期に、その人手は要らない——バックオフィスの人員は、事業の波に合わせて増やしたり減らしたりが効きません。正社員は簡単には減らせず、一度採用すれば固定費として残り続けます。かといって、業務が回らなければ会社は止まります。

この「増やせても、減らせない」というジレンマを根本から解く考え方が、いま広がりつつある「BPaaS」です。

本記事では、1,500社以上のバックオフィスに携わってきたBackofficeForce(監修: 筧智家至・公認会計士/税理士)が、BPaaSとは何か、BPOや代行と何が違い、なぜいま有効なのかを解説します。

BPaaSとは何か——定義と、これまでとの違い

BPaaSの定義

BPaaS(Business Process as a Service)とは、簡単に言うと、経理や労務などの業務を必要な分だけ使えるサービスとして受け取り、仕組みごと動く状態を手に入れる方法です。

ポイントは3つあります。「必要な分だけ」使えること、業務が「仕組みごと」動くこと、そしてそれを「サービスとして」受け取ること。この3点が、これまでの選択肢とBPaaSを分けています。

これまでの選択肢と、残ったままの問題

多くの会社は、バックオフィスの負担が増えたとき、次の選択肢のどれかを取ってきました。人を雇う(自社雇用)、派遣を頼む、業務を外に委託する(BPO・代行)、ツールを入れる(クラウド会計などのSaaS)。それぞれに役割はありますが、冒頭の「増やせても減らせない」ジレンマや、担当者への依存という問題は、実は多くが残ったままです。いま外注(BPO・代行)を比較している方も多いはずですが、その外注もまた、この問題を抱えた選択肢の一つです。BPaaSは、それらの「次の形」として位置づけられます。

違いは、自社の悩みに引きつけて並べると見えてきます。

あなたの悩み 自社雇用 派遣 BPO・代行 BPaaS
繁忙期だけ増やしたい ✕ 固定費で残る △ 都度手配 △ 契約単位 ○ 必要な分だけ
担当者が辞めても回したい ✕ 属人化 ✕ 交代で振り出し △ 委託先の担当者依存 ○ 仕組みで動く
品質を安定させたい △ 人による △ 人による △ 委託先次第 ○ 標準化済み
経営者が数字に集中したい △ 採用・育成・管理の手間 △ 指示・確認が要る ○ 運用ごと任せる

BPaaSがもたらす3つの良さ

ここから、BPaaSがもたらす「良さ」は3つに整理できます。

第一に、「必要な分だけ」だから、経営が軽くなります。人件費は、一度固定費になると事業が縮んでも減りません。BPaaSは使った分だけのコストなので、事業の波に合わせて伸縮でき、固定費の重さから解放されます。この点は「なぜ今 BPaaS か」でくわしく述べます。

第二に、「仕組みごと」だから、人が辞めても品質が落ちません。自社雇用でもBPOでも、業務が特定の担当者の頭の中で回っている限り、その人が抜けた瞬間に止まります。BPaaSは業務が仕組みとして設計された状態で動くため、担当者の交代が品質に影響しにくいのです。

第三に、「サービスとして」受け取るから、「一番安いBPOが3年後に一番高くなる」という失敗を避けられます。これはBPaaSと従来型の外注を分ける最大の論点なので、後の章で詳しく扱います。

なぜ今 BPaaS か——人件費を「固定費」から「変動費」へ

BPaaSがいま注目される最大の理由は、人件費を固定費から変動費に変えられる点にあります。

バックオフィスの人件費は、典型的な固定費です。正社員を1人採用すれば、その人が生み出す業務量にかかわらず、給与・社会保険料・教育コストが毎月かかり続けます。事業が伸びているときは問題になりませんが、市場が縮んだり、繁閑の差が大きい事業では、この固定費が経営の重石になります。「人を減らせば固定費は下がるが、業務は止まる」という板挟みは、多くの経営者が経験しているはずです。

変動費化とは、この構造を組み替えることです。業務を「必要なときに、必要な分だけ」受け取れるようにすれば、人件費は事業の実態に連動します。閑散期には縮み、繁忙期には広げる。採用や人員整理といった重い判断を伴わずに、業務の量を調整できる状態です。

この「サービスとして受け取る」形が現実的になったのは、ここ数年の変化によるものです。クラウド会計や給与・勤怠などのツールが成熟し、業務のオンライン化が進んだことで、社外のチームが仕組みごと業務を回すことのハードルは大きく下がりました。一方で、バックオフィス人材の採用は年々難しくなっています。採用で解決する道が細くなり、仕組みで解決する道具立てが揃った——この2つが重なったことが、「今」BPaaSが広がりつつある背景です。

これは単なるコスト削減ではありません。経営の柔軟性そのものが上がります。新規事業を試すときも、撤退するときも、バックオフィスが固定費として足を引っ張らない。人を増やせなくても事業を伸ばせる体質に近づきます。この「採用できても、できなくても回る経営」という考え方は、より大きな枠組みとして第1章「採用に依存しない高収益経営(BackofficeEnablement)」で解説しています。

「代行型」と「仕組み型」——一番安いBPOが、3年後に一番高くなる

BPaaSを知った経営者が最初に抱く疑問は、「それは結局、いつものBPO・代行と何が違うのか」でしょう。ここが本記事の核心です。

外注には、大きく「代行型」と「仕組み型」の2つがあります。

「代行型」は、今ある業務をそのまま外の人に肩代わりしてもらう形です。導入は速く、見積もりも安く見えます。しかし、業務のやり方は自社の従来のまま外に移るため、その業務は委託先の特定の担当者の頭の中で回り始めます。つまり、社内にあった属人化が、社外に移動しただけの状態です。委託先の担当者が代われば品質が揺れ、こちらから逐一指示や確認をしなければ回らない。結果として、安いはずの代行に、目に見えない管理コストが積み上がっていきます。

「仕組み型」は、業務を「誰がやっても同じ品質で回る」形に設計し直しつつ引き受ける形です。初期には業務の棚卸しや標準化の手間がかかり、見積もりも代行型より高く見えることがあります。しかし、一度仕組みができれば、担当者が代わっても品質は落ちず、指示や確認の手間も減っていきます。

この2つのコストは、時間とともに逆転します。導入時点では代行型が安い。しかし代行型は管理コストと品質の揺れが積み上がり、担当者交代のたびに引き継ぎコストが発生します。仕組み型は初期こそ高いものの、運用が進むほど手離れがよくなります。私たちが現場で繰り返し見てきたのは、「一番安いBPOを選んだ会社が、3年後には一番高いコストを払っている」という逆転です。安さの正体は、あとで払う管理コストの先送りだったわけです。

BPaaSは、この仕組み型を、ツールと運用チームをまとめてサービスとして提供するモデルです。だからこそ「サービスとして受け取り、仕組みごと動く状態を手に入れる」という定義になります。

失敗しないBPaaSの選び方——見えないコストと、確認すべき5つの視点

「仕組み型が良い」と分かっても、外注サービスの見積書には仕組みの質は書かれていません。表面的な月額料金だけで選ぶと、代行型の安さの罠にはまります。そこで、見えないコストと、選定時に確認すべき視点を整理します。

見えないコストは、大きく4つに分けられます。

  • 引き継ぎコスト:委託先の担当者が代わるたびに、業務を教え直す手間。属人化した外注ほど大きくなります。
  • 品質のばらつきコスト:担当者や時期によって成果物の質が変わり、こちらでチェック・手直しをする手間。
  • コミュニケーションコスト:逐一の指示・確認・すり合わせにかかる、自社側の時間。「任せたのに、結局こちらが動いている」状態です。
  • 切り替えコスト:品質に不満で委託先を変えようとしたとき、業務が委託先の中でしか分からない状態だと、乗り換え自体が難しくなります。

これらは月額料金には表れませんが、確実に発生します。選定では、この見えないコストが小さいかどうかを、次の5つの視点で確認してください。

  1. 判断基準まで引き取ってくれるか。手順だけでなく「例外時にどう判断するか」を言語化して受けてくれるサービスは、属人化を持ち込みません。
  2. 担当者が代わっても回る設計か。特定の担当者に依存しない体制かを確認します。
  3. 業務が見える状態で返ってくるか。ブラックボックスにせず、進捗や基準がこちらから分かるか。
  4. 量の増減に対応できるか。繁閑に合わせて伸縮できてこそ変動費化の意味があります。
  5. 撤退・切り替えができるか。いざというとき業務を引き取り直せるかは、依存しすぎないための保険です。

この5つを満たすほど、そのサービスは「代行型」ではなく「仕組み型=BPaaS」に近いと言えます。

BackofficeForceのBPaaS実践——属人化を、外注先にも持ち込ませない

私たちがBPaaSで最も重視しているのは、業務を仕組みとして設計し直し、属人化を社内にも社外にも残さないことです。

属人化した業務には、部門を問わず3つの共通点があります。担当者が手順を言葉で説明できない、他の人が同じ手順をなぞっても同じ結果にならない、そして「この場合はこうする」という判断基準が明文化されていない、の3つです。代行型の外注は、この属人化した業務をそのまま引き受けるため、属人化の場所が社外に移るだけでした。

BackofficeForceのBPaaSは、引き受ける前に、この3点を一つずつ解消します。手順と判断基準を言語化し、誰が担当しても同じ品質で回る形に業務を設計してから運用に乗せる。この「業務設計」の考え方は第3章「業務設計とは」で、その前提となる属人化そのものの理解は第2章「属人化とは」でくわしく解説しています。

経理を例にすると、記帳・請求・支払・給与計算・年末調整の実務までを、仕組みとして受け取れる状態にします。なお、税務申告や税務相談は税理士の独占業務のため、BackofficeForceのサービス範囲としては行いません。(必要に応じて、グループ会社である税理士法人グランサーズにて対応いたします。)経理実務と税理士領域の線引きを踏まえ、実務の部分を仕組み化して引き受けるのが私たちの役割です。

強い会社は人に依存しない。設計に依存する。——BPaaSは、その設計を「サービスとして」受け取れるようにした形なのです。

よくある質問(FAQ)

Q1. BPaaSとは何ですか?

経理や労務などの業務を、必要な分だけ使えるサービスとして受け取り、仕組みごと動く状態を手に入れる方法です。ツールを導入して自社で回すSaaSでも、人手を外に出すBPOでもなく、業務そのものが仕組みごと動く状態を受け取る点が違いです。

Q2. BPOやアウトソーシングとの違いは何ですか?

BPOや代行は「今の業務をそのまま外の人に肩代わりしてもらう」形で、属人化が社外に移りやすい傾向があります。BPaaSは「誰がやっても同じ品質で回る仕組み」に設計し直してから引き受けるため、担当者が代わっても品質が落ちにくいのが違いです。

Q3. 外部に任せると品質が下がりませんか?

属人化したまま外注する代行型では、担当者次第で品質が揺れます。一方、判断基準まで言語化して仕組み化したうえで運用するBPaaSは、むしろ社内の属人化状態より品質が安定するケースが多くあります。

Q4. どのくらいの規模の企業に向いていますか?

繁閑の差が大きい事業や、担当者が少なく業務が属人化しやすい中堅・中小企業ほど効果が表れやすい傾向があります。人を増やす前に、いまある業務を仕組み化して変動費に変えられるかを見極めるのが第一歩です。

Q5. 導入までにどのくらいかかりますか?

業務範囲と現状の整理度合いによりますが、まず業務の棚卸しと設計を行い、仕組みの立ち上げは最短1ヶ月が一つの目安です。緊急で人手を確保したい場合は、稼働開始を2週間以内で調整できるケースもあります。

Q6. 経理を任せると、税務申告もやってもらえますか?

いいえ。税務申告や税務相談は税理士の独占業務のため、経理代行・BPaaSのサービス範囲としては行いません。記帳・請求・支払・給与計算・年末調整の実務など、経理実務の部分を仕組み化して引き受けます。税理士領域が必要な場合は、必要に応じてグループ会社である税理士法人グランサーズでも対応可能です。ぜひ、ご相談ください。

さいごに——人に依存しないバックオフィスへ

バックオフィスを「増やせても減らせない固定費」から、「必要な分だけ動く仕組み」へ。BackofficeForceは、業務を仕組みとして設計し直し、属人化を残さないBPaaSで、貴社のバックオフィスが人に依存しない状態になるまで伴走します。まずは、いまの業務のどこが属人化し、どこを変動費に変えられるかを一緒に整理するところから始めませんか。導入の実際は「導入事例」で、個別のご相談は「無料相談」でお受けしています。問題は人ではありません。業務の仕組みです。

監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
慶応義塾大学商学部卒。監査法人トーマツにて会計監査、株式上場支援、企業の経営改善支援に従事。平成24年筧公認会計士事務所(現:BackofficeForce株式会社)を開設。常に現場に入り、経営者とともに課題に取り組み、経営者と常に相談しながら経営者のニーズに応え、解決策を導き出すことをモットーにしている。スタートアップ企業からIPO(上場)準備支援まで、あらゆる成長段階の企業のサポートをしており、税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティングサービスに中小企業経営者の信頼と定評を得ている。東京商工会議所専門家エキスパート、セミナー実績多数。経営者向け人気YouTubeチャンネル「社長の資産防衛チャンネル」にも出演中。