少子高齢化などの影響で人手不足が深刻化し、人材の確保が年々難しくなっています。
大企業ですら人材確保に苦戦している現状では、中小企業が優秀な人材を継続的に採用するのは困難です。
そこで中小企業では、業務の効率化が一層求められるようになりました。
一人ひとりが効率的に働くことで、長時間労働を抑制しながら生産性の向上ができるようになります。
しかし、いざ業務効率化に取り組もうとしても、何から始めたら良いのか、抑えるべきポイントはあるのかなどが気になりますよね。
そこで今回は、中小企業が業務効率化を実現するための方法やアイデアなどを紹介します。
中小企業に業務効率化が求められる理由
少子高齢化による人手不足が深刻化している昨今、人材確保が難しい状況です。
また新型コロナウイルスの影響で経済が停滞しているため、採用人数を減らさなければならない企業も顕在化しています。
大企業ですら人材の確保が年々難しくなっている状況下、中小企業は一層人手不足に悩まされています。
そこで中小企業に必要となってくるのが、「業務の効率化」です。
中小企業が業務効率化を行うことで、どのようなメリットが生まれるのでしょうか?
中小企業が業務効率化を行うメリット
コア業務を迅速に処理できる
バックオフィス業務は売上に直結しないものの、時間を取られてしまう業務です。
業務効率化では、真っ先に効率化を図るべきポイントと言えます。
ITツールの導入や、オンラインアシスタント、アウトソーシングサービスなどを活用して効率化に取り組めば、バックオフィス業務の処理スピードが格段にアップ。コア業務に集中できるようになるでしょう。
情報共有がスムーズになる
業務効率化を行うと、これまで行っていた無駄な連絡や、申請・承認ルートの簡素化ができるようになります。スムーズな連絡や、申請、承認ができるようになれば、情報共有もスピーディーに行えるようになるでしょう。
特に規模があまり大きくない中小企業では、より情報共有のスピード感が求められます。
情報共有がスムーズになれば、目標の共有や、業務状況の把握も簡単に行えるようになるはずです。
リソースを集中させられる
業務効率化を実現できれば、リソースを集中できるようになります。リソースが多岐にわたり、幅広い業務を展開できる大企業とは異なり、中小企業は限られたリソースの中で業務を展開しなければなりません。
言わば、「業務の選択と集中」をする必要があるのです。
業務の効率化によって、無駄な業務を減らし必要な業務だけを選択できるようになります。
そうすれば必要な業務にリソースを集中させて、商品やサービスの品質、安全性を高めることができるでしょう。
従業員の満足度向上
業務効率化によって労働時間が短くなれば、従業員のプライベート時間が確保できるようになります。
また効率化によって無駄な業務が省略され、売上に直結できるようになれば、従業員はこれまで以上に「やりがい」を感じられるようになるでしょう。
仕事にやりがいを感じながら、プライベートの時間を確保できれば、従業員の満足度は向上します。
従業員の満足度が上がれば、労働生産性の向上にもつながり、事業の拡大や売上のアップにもつながるはずです。
中小企業の業務効率化を成功させるためのポイント
業務の見える化
業務効率化を行うために、まずは業務の見える化を行いましょう。
従業員一人ひとりがどれだけの仕事量をこなしているのか、どのような仕事を担当しているのか、実は把握できていない経営者の方も多いのではないでしょうか?
自社の業務が見えていない状況では、どの部分がボトルネックになっているのか、どの部分を省くべきなのかわかりません。
それがわからないと、業務効率化を始めるのは難しいです。
だからまずは、業務のリスト化や、業務内容の洗い出し、業務に使用している資料やマニュアル、セキュリティレベルのチェックまで行い、「見える化」を実践してみましょう。
業務の見える化をしたうえで、不要な業務を省いたり、ITツールによって自動化したりしてみてください。
また、業務の見える化を行った結果、紙の資料やマニュアルが多い場合は、ペーパーレス化を進めるのがおすすめです。
資料をスキャンしてPDF化すれば、わざわざ作り直す必要はありません。
資料やマニュアルをPDF化すれば、社内共有がスムーズになり、業務効率化に役立ちます。
優先順位の決定
業務の見える化を行い、効率化すべきポイントを把握できたら、効率化に取り組む優先順位を決めましょう。
効率化しやすい業務の優先順位を高くして、まずはそこから着手してください。
効率化しにくい業務から手をつけてしまうと、なかなか成果に結びつかず、途中でやる気がなくなってしまう可能性があるからです。
例えば、フォームの記入や申請・承認関連、顧客対応などは簡単に効率化を図れる業務内容です。
まずはそういった簡単な業務から一つ一つ効率化を行いましょう。
そうすれば、業務効率化に対するモチベーションも維持できますよ。
業務範囲の明確化
従業員一人ひとりの業務内容を見える化したら、それぞれの業務範囲を明確化しましょう。
1つの業務に対して複数人が業務に携わる場合、「1人で進められる業務を何人かで取り組んでしまった」というミスが起こる可能性があります。
それはとても無駄なことなので、きちんと業務範囲を明確にして、それぞれが取り組むべき業務を提示してあげてください。
業務範囲を明確化して、従業員それぞれが自分の業務内容に集中して取り組めるようになれば、業務の効率化につながるはずです。
PDCAを回す
業務効率化を継続的に行うためにも、必ずPDCAサイクルを回して効果を検証しましょう。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認・評価)、Act(改善)のサイクルを何度も回しながら、業務効率化の取り組み方について振り返りを行ってください。
なぜなら、業務効率化に取り組めば必ず結果が出るわけではないからです。
業務の見える化や優先順位の決定、業務範囲の明確化などをしっかり行わないと、効率化につながりません。
効率化につながらなければ、逆に業務のクオリティが下がったり、業務が機能しなくなったりする可能性もあります。
PDCAサイクルを回すときは、作業時間の削減や情報共有できているのか、ミスの発生頻度は減っているのかなどを踏まえ、業務効率化の効果を確かめてください。
中小企業の業務効率化を行うためのアイデア
ツール・システムの導入
業務効率化を行うために、ツール・システムの導入をしてみてはいかがでしょうか。最近は社内のコミュニケーションや情報共有を円滑に行うために、「Slack」や「Chatwork」などのチャットツールを導入する企業が増えています。
また、「サイボウズ Office」や「Google Workspace」などのグループウェアを利用する企業も多くなりました。グループウェアを活用すれば、データの共有、社内のドキュメント共有、スケジュール管理などの効率化に役立ちます。
オンラインアシスタントの利用
オンラインアシスタントは、インターネットを介して、総務、経理、人事などのバックオフィスの業務をオンライン上でサポートしてくれます。
最近は、人手不足のベンチャー企業や中小企業、個人事業主を中心にサービスの利用が増えています。
オンラインアシスタントを利用することで、バックオフィス業務の迅速に処理できるようになり、それによってコア業務に集中できるようになります
起業時や新プロジェクトの発足時などはバックオフィス業務ができないほど多忙になりますよね。
そういうときは、オンラインアシスタントをうまく活用してみてください。
アウトソーシングサービスに依頼
バックオフィス業務の効率化を図りたい方は、アウトソーシングサービスに業務代行を依頼するのもよいでしょう。
アウトソーシングサービスを利用すれば、社外の優秀な人材にバックオフィス業務を代行してもらえます。
アウトソーシングサービスには常駐型とオンライン型があり、常駐型は自社に人が来る分だけ状況を共有しやすい一方で、稼働が固定費に近づきます。オンライン型は必要な範囲を切り出しやすい代わりに、依頼の仕方を整えておく必要があります。
アウトソーシングサービスを活用すれば、社員がコア業務に集中できるはず。
社内リソースだけで業務効率化を進められないときに活用してみてください。
バックオフィスを外部化して業務効率化を進めた事例
実際にバックオフィス業務を外部化して効率化を進めた中小企業を2社紹介します。
株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ様の事例
株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ様は、ファンドの新設で事業規模が倍以上になり、社員数も1年で10名から20名へ増えたことで、経理と総務を兼任する担当者1名に業務が集中していました。給与の振込のような当たり前の業務が1人に依存している状態にリスクを感じつつ、この規模で専門人材を新たに採用するのは過剰だと判断し、外部化を選んでいます。
取り組みでは、属人化していた業務のマニュアルを作成して定型化を進め、月次オペレーションを社内の担当者と委託先で分担する業務フローに組み替えました。改善提案によって工程が5分の1に減った業務もあり、月次決算は前倒しで進められるようになっています(株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ様の事例)。
株式会社W-ENDLESS様の事例
株式会社W-ENDLESS様は、経理の主担当者が退職したことをきっかけに、継続して経理業務を回せる体制づくりに取り組みました。委託先を選ぶ際は、個人ではなくチームで受ける形であることと、マニュアルを共有して人に依存しない仕組みをつくれることを重視しています。
その結果、社内の人員が減った状態でも月次決算を期日どおりに締められるようになりました(株式会社W-ENDLESS様の事例)。
まとめ
今回は、中小企業が業務効率化を成功させるための方法や事例を紹介しました。
人材確保が難しい状況下、中小企業は業務効率化を行うことで人手不足を解消する必要があります。
業務効率化を行うときは、先述したした成功のポイントやアイデアを参考にしながら、会社全体で着実に進めていってください。
効率化の効果を一時的なものにしないためには、手順と判断基準を先に言語化しておく必要があります。その進め方は「業務設計とは」でまとめています。