経理での記帳とはどんな仕事?経理における記帳の重要な役割を解説
ビジネスの成功には、正確な経理と記帳が不可欠です。経理は、過去の経営成績がどうであったのか、今の財務状況がどうであったのかを把握させることを可能にします。これは将来の重要な経営戦略の策定と実行を可能にします。
一方、記帳は全ての取引を記録し、財務報告の基盤を作ります。適切な経理と記帳は、経営成績評価、予算策定、投資判断、税金計算といった重要なビジネスプロセスを支えます。
それらを通じて、経理と記帳は企業を健全に運営し、適切な意思決定を可能にし、持続可能な成長を達成するための鍵となります。
目次
経理とは何か?その役割と意義を解説
経理とは、企業が行う全ての取引(主にお金が関係する取引)を把握・確認し、その情報を各部署から収集し、それを体系的に整理します。
整理した結果、会計ソフト等に入力し、入力した結果を財務的な視点や経営成績的な視点で分析します。これを経営分析といいます。
この経営分析の結果、過去の現実を分析し、将来の予測を立てることを行います。具体的には資金繰りや経営成績予想がそれに該当します。
これらの分析結果はレポートとして作成されます。このため最後は社内や外部にレポートする機能を持ちます。
この一連のプロセスは、企業の財務状況と経営成績を可視化し、経営者や投資家、従業員、顧客、そして関係する行政機関に必要な情報を提供しています。
これが経理の担う一連の作業です。
渋沢栄一の言葉に「論語と算盤(そろばん)」という言葉があるように、二宮尊徳の言葉に「道徳なき経済は悪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉にあるように、道徳や戦略は経営において非常に重要ですが、それだけでは経営が成り立たず同時に数字を見ることが重要視されています。
この数字を見るためには数字の集計と数字の分析が不可欠です。これはかなり高度な専門性が伴います。
この会社の数字を扱う上で専門性を持った仕事が経理です。
経理は企業の財務の健全性を分析・評価します。現在の資金状況、財産の状況を示し、今後その資金や財産がどのように変化するのかという資金繰りを示します。
この結果、経営者もしくは経営陣は効果的な意思決定を行えます。
このように経営者をサポートするための基盤となる情報を提供します。
この情報提供の役割は、予算策定、投資分析、財務計画、税金計画、そして内部監査や外部監査などの広範なビジネス活動にとって不可欠です。
例えば、予算策定では、過去の財務データと予測を組み合わせて、将来の費用と収入を予測します。投資分析では、経理情報を用いて投資のリスクとリターンを評価し、最善の投資決定を下します。
上場会社の場合、経理は外部の監査や投資家、金融機関に対して対応をします。
公認会計士の監査(監査法人の監査)は、企業が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかについて監査意見を表明することですが、企業が法規制を遵守していることを確認します。
この監査に対応するのが経理です。また外部の投資家や金融機関に対して信頼性のある情報を提供して、企業の将来性に対して説明するのも経理の仕事です。
経理はまた、企業のタックスプランニングや正確な税金計算にも不可欠です。税法は複雑であり、専門知識がなければ適正な税額を計算することは難しいものとなります。
時には税理士と専門的なコミュニケーションを取り、税金計算を行うこともあります。
また海外に関係会社がある場合だと、海外の税制を確認してタックスプランニングを検討することもあります。
以上のように、経理はビジネスのあらゆる側面で不可欠な役割を果たします。
企業の財務状況と経営成績を明確にし、効果的な意思決定を支援し、企業の信頼性を保証し、法的な支払いを遵守するという役割を持ちます。
記帳とはどんな仕事か?その手法を解説
記帳とは、事業活動に関連する全ての取引活動を記録するプロセスを指します。
これは売上高、仕入、経費、借り入れ、資本の増減など、企業の日常業務を通じて発生するあらゆる取引活動についての詳細な情報を含みます。
このプロセスは、すべての取引活動がタイムリーに、かつ正確に記録することになるため、タイムリーな自社の状況の把握と分析および経営の意思決定を行うための基盤となります。
記帳には、一般的に二つの主要な方法があります。
一つは「単式簿記」で、収入と支出を単純に記録・記帳する方法です。主に小規模なビジネスや個人事業主に適しています。
もう一つは「複式簿記」で、各取引を最低二つの異なる会計項目に記録する方法です。
複式簿記は、現在の簿記や経理の基本となるものです。
資産、負債、純資産(資本)、収益、費用という5つの項目に分類して、それぞれの定義に当てはまる勘定科目にわけ会計ソフトの記帳をしていきます。
記帳の主な目的は、企業の財務活動を詳細に確認し、それらの活動の結果を把握することです。
これにより、企業の利害関係者は、企業の財務的な健全性、経営成績、及び財務状況を正確に分析することができます。また、適切な記帳は税金の計算や外部監査のためにも必要となります。
正確な記帳は、経営活動の各種判断に非常に役立ちます。
例えば、企業の現在の資金状態や今後の資金流入状態を把握することで、何に投資をすべきという「選択と集中」の判断を助けます。
より戦略的なビジネス計画を策定が可能になります。
また無駄なコストがないかを把握することができ、コスト削減の可能性を見つけたりすることができます。
さらに企業が新たに資金を調達する必要がある場合、どの程度の資金調達を行う必要があるのか、を明確にわかることにもなります。
さらに正確な記帳を行っていると投資家や金融機関に信頼性のある情報を提供することができるため、その結果、より良い貸借条件を得る可能性を高めます。
また、記帳は企業の経営成績の評価にも重要です。各部門やプロジェクトの業績や収支を把握し分析することでで、効率的なリソース配分を行い、企業全体の経営成績を最適化することができます。
加えて、記帳は内部コントロールの一環ともなり、不正行為の予防や検出に役立つこともあります。
このように、記帳は企業の財務情報の信頼性を保証し、意思決定を支援し、経営成績評価を可能にし、法規制の遵守を確保するという多岐にわたる重要な役割を果たします。
そのため、正確かつ効率的な記帳の実施は、成功する経営において重要な要素であると言えます。
経理が企業経営において担う役割
企業経営における経理の役割は極めて大きく、その一端を示すものとして経営戦略策定や予算策定があります。
また上場企業の場合は監査対応ということもあります。
1.経営戦略策定
まず、経営戦略の策定においては、経理情報はその基礎となるデータを提供します。現在の企業の財務状況や経営成績を反映する経理情報を分析することで、経営陣は過去の経営成績を評価し、今後の目標を設定します。
また、市場環境や競争状況の変化を考慮した上で、適切な投資、コスト削減、価格設定等の戦略を策定します。具体的には、各事業部門の経営成績や各商品、製品、店舗ごとのの利益性、顧客や市場の利益性等を分析し、企業リソースの最適な配分を決定します。
この分析は会計ソフトに記帳した結果、現れるものです。このため会計ソフトに記帳する時には、各部門単位に売上や費用を集計することや各製品単位に売上や費用を集計する、といった緻密な作業が必要となります。この緻密な作業の結果として現れる事業部門ごとの収支や製品ごとの収支が企業の将来意思決定に大きく役に立つことになります。
2.予算策定
次に、予算策定もまた、経理が深く関与するプロセスです。予算は企業の将来の事業計画であり、経理情報を基に作成されます。
予算策定の過程では、過去の財務データと将来の予測を組み合わせて、将来の収益、費用、キャッシュフローを予測します。
また、予算は組織の目標と経営成績を評価する基準ともなるため、適切な予算策定は企業の運営を効果的に指導し、経営成績を改善するための重要なツールです。
3.外部監査
最後に、経理は外部監査に対応を行います。公認会計士の監査は上場企業においては必須です。
この監査法人対応いかんでは企業の業績が大きく異なることもあるため、監査法人とは適切なコミュニケーションをとる必要があります。
以上のように、経理は企業経営の各フェーズにおいて不可欠な役割を果たします。
経理情報を適切に管理・分析することで、企業はより効果的な戦略策定、予算策定、そして監査プロセスを行うことができます。
このような適切な経理の実施は、企業が競争力を保つための重要な要素であると言えるでしょう。
記帳と税務 適正な税金計算のための基礎
記帳は、税務計画と税金計算の両方における重要な役割を果たします。
適切な記帳は、企業が適切な税金を計算し、時期を逃さずに納付するための基礎となります。
さらに、それは企業が税法を遵守し、税務署・国税庁からの罰則を避けるための重要な手段でもあります。
税務計画においては、適切な記帳は企業がタックスプランニングを策定し、可能な限り税負担を軽減するための重要な情報を提供します。
例えば、企業は記帳を通じて、利益と費用の詳細な情報を得ることができ、これらの情報を用いて税務効果を最大化する戦略を策定することが可能となります。
また、記帳は税控除や税金予想額の確認にも役立ちます。
これらは企業の税負担を軽減し、経済的な利益を最大化するのに重要です。
税金の計算においては、記帳は全ての財務取引を正確に確認し、企業が税法に基づいて適正な税金を計算するための基盤となります。
このプロセスは、企業が税務署・国税庁に対して正確かつ透明な財務報告を提供するのに不可欠です。
また、正確な記帳は税務調査を円滑に進めるためにも重要で、企業が税務調査に対するリスクを管理するための手段となります。
その他にも、記帳は企業が適切な証憑などの計上根拠資料を保持する役割も担います。
税務署・国税庁は、企業が一定期間にわたって証憑などの計上根拠資料を保持することを要求しています。
これらの記録は、税務調査が行われる場合や税務紛争が生じた場合に重要となります。
以上から、記帳は適切な税務計画の策定、税金の正確な計算、そして証憑などの計上根拠資料の維持といった、企業の税務遵守における各側面に深く関わっています。
したがって、適切な記帳の実施は、企業が法的な問題を避け、財務的な利益を最大化する上で重要な役割を果たすと言えるでしょう。
まとめ
本記事では、経理と記帳が経営における重要性について説明しました。経理は企業の財務情報を管理し、意思決定のための信頼性のある情報を提供します。
また、記帳は正確な財務情報の生成と維持に不可欠であり、企業の経営活動や税務計画に深く関わっています。
また、経理は経営戦略の策定や予算策定に対する基盤を提供し、内部監査と外部監査の実施を支えます。
記帳は適切な税務計画の策定と税金の正確な計算を可能にし、企業が法規制を遵守する手段となります。
結論として、経理と記帳は企業の成功を支える基盤となり、経営戦略の策定、財務管理、税務遵守など、経営の各面で中心的な役割を果たします。
これらを適切に実施することは、企業が競争力を維持し、持続的な成功を達成するための不可欠な要素となります。
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