人手不足を解決したい!人手不足解決策を提案。
「人手不足」は現在の日本において深刻な社会問題で、多くの企業にとっての重要課題です。
人手不足に関連する倒産も多く、企業経営における要とも言えます。
そこで今回は、人手不足に陥る原因から、その解消法までを詳しく解説します。
人手不足の原因
現在の日本には、4つの人手不足の原因があります。
① 少子化・高齢化の進行による労働者人口の減少
現在、日本では少子化が進行し、人口が減少中のため、働き手も減ってきています。
それと同時に高齢化も進み、超高齢社会になっています。
その結果、就業可能年齢人口の比率が以前より低くなってきているため働き手人口をさらに減らしています。
② 企業間における人材獲得競争の激化 有効求人倍率の偏り
近年、就活市場は人口が減少しているため「売り手市場」であり、求職者より求人の方が多くなっています。
そのため求職者が求人を選べるようになっているので、不人気の業種・業界の求人には応募がなかなかきません。
また、若年層を中心に大企業志向が強くなってきているため、中小企業は求人で不利になりがちで人材が集まらず、人手不足に陥っているのです。
③ 労働条件に求めるものの変化
労働条件も、以前は賃金や労働時間だけに注目されていましたが、近年では、仕事のやりやすさややりがいなど、労働環境や福利厚生も条件として加味され選択条件の重要ポイントに上がってきています。
中小企業の場合、福利厚生など全ての条件を整えるには難しい面もあるのが実情です。
そのため、そのことが若年層の大企業志向を助長し、ますます中小企業での人手不足につながってしまっています。
④ 景気や社会情勢の変化
2020(令和2)年に発生した新型コロナウィルス感染拡大問題の影響で、これまでの深刻な人手不足問題に対して、一定の好影響をもたらしているという分析もあります。
コロナの感染を防ぐために、多くの業種で時短営業あるいは休業要請に従い休業体制が敷かれました。その実施の結果、該当する業種では、一時的・一過性の現象とはいえ、人手不足ではなくなったのです。また、コロナ禍は、リモートワークによる在宅勤務という現象も生みました。
この現象と働き方改革による副業推進策の効果により、人手不足状態の業種や職種に供給が増える動きも出てきていますが、それと同時に、正規社員の募集が激減し、競争率が激化しているという側面も見られるのです。
人手不足の影響
長期的な人手不足は、企業の経営や従業員の働き方などに多くの影響をもたらします。
業績悪化
人手が足りなくなると、1日あたりに処理できる業務量が減少するため、仕事の受注数や請負数をセーブすることになってしまいますし、商品やサービスのクオリティの低下などにも繋がります。
売上や業績が低下し、事業規模そのものが縮小してしまうことにもなりかねません。
長時間労働の常態化 (時間外労働の増加)
人手不足のまま、今まで通りの業務量をこなそうとすると、どうしても既存の従業員への負担が大きくなってしまいます。
どんなに頑張っても、従業員1人が所定内の労働時間にこなせる業務量には限界がありますので、足りないぶんは時間外労働でカバーすることになってしまいます。
さらなる人手不足を招く
場合によっては従業員の待遇を見直さなければなりませんが、待遇面への不満から離職が相次ぐと、人手不足の問題がさらに深刻化し、悪循環に陥るおそれがあります。
現代は多くの人がプライベートを充実できる会社を選ぶ傾向にあるともいわれています。
人手不足が起きている職場は、先述の通り時間外労働が常態化しているため、プライベートを充実させるどころか、残業や休日出勤によって私的な時間が潰されることも考えられます。
また、仕事選びにおいて会社の雰囲気や社内の人間関係を重視する人も多いですが、人手不足に悩んでいる企業はひとりひとりが業務に追われているため、どこか殺伐とした雰囲気になってしまいます。
求職者が就職先・転職先を選ぶのが当たり前になっている今、労働環境が悪い職場は候補から外れてしまう可能性が高く、新しい人材の確保も難しくなります。
深刻化する人手不足への対策・解決法
企業として深刻化する人手不足状況にどう歯止めをかけるか、その具体案として次の8項目が考えられます。
① 労働条件・労働環境の見直し
会社が人材不足となる原因の一つとして、従業員の離職があります。
これを極力、防ぐための手立てとして、従業員の労働条件や労働環境の見直しを実施する必要があります。また労働条件・労働環境の見直しは、求人応募者の増加にもつながるのでぜひ取り組むべきです。
労働条件・労働環境の見直し具体案としては、このようなものが考えられます。
- 福利厚生の拡充
- 給与ベース額や昇給制度の見直し
- 代休や有給休暇を取りやすい環境づくり
- 残業の発生しない業務スケジュールやマニュアルの施行
- フレックスタイム制の導入
- 非正社員への正社員登用制度の簡素化
- リモートワークの導入
また、適切な情報を共有したり、変化を受け入れる土壌があったりと過度なストレスがかからないよう職場の風通しをよくしておくことも重要なポイントです。
② 教育・研修制度の見直し
人手を増やさずに人手不足を改善する方法として、従業員一人ひとりをレベルアップ・パワーアップさせることで、人手の足りなさを補うということが考えられます。そのためには、社内教育・研修制度の見直しや導入が必要です。
従業員のスキルが向上すれば業務時間は短縮化され、従業員が新しいスキルを身につければ業務の兼任化が可能となり、人手不足改善に繋がるでしょう。
③ 採用方法の見直し
求人への応募者を増やすために、採用方法の見直しも検討できます。新卒採用にこだわらず、中途採用での人材補充もおすすめです。
中でも、次のようなポイントに絞った採用を意識することで人材獲得に繋げることができます。
女性向け
産休や育休制度の見直し、フレックス制の適用、テレワークの導入などにより、復職しやすさをアピールします。
シニア層
社内で不足している職種を明確化し、そこに合致するスキルや経験者について年齢制限を撤廃して即戦力を採用します。
留学生や外国人労働者
業種・職種によって適合可能であれば人手不足改善の有効な手段になります。
④ 業務フローの見直し(生産性向上)
日常化・ルーティン化しているバックオフィス業務にこそ、意外と業務のムダが隠れていることがあります。
そこで、社内のバックオフィス業務についてマニュアル化を実施してみましょう。
業務のマニュアル化によって、各業務や従業員一人ひとりの行動を効率化することで、業務のムラや無駄について業務フローの見直しを行うことができ、生産性は向上し一定の人手不足改善効果が得られるはずです。
また、業務フローの見直しは、教育・研修制度と連動させることで相乗効果が得られます。
生産性の向上は、人手不足改善だけでなく、企業価値向上に直結することができます。
⑤ IT化の推進
ITとは「Information Technology=情報技術」です。
IT化とは、これまでアナログで行っていた作業・業務を、新たに導入するクラウドシステムなどのデジタルツールを活用することによって、効率化やコスト削減を実現することを意味します。
具体的にIT化によって期待できるメリットは
- データの一元管理ができる
- ミスなく正確な処理ができる
- 社内および社外とのコミュニケーションが円滑になる
- ペーパーレスにより保管場所およびコストが削減できる
などですが、業務の大幅な効率化を図ることができます。
IT化をするにあたっては先に④業務フローの見直しをしっかり行い、何をどうIT化するのかを精査して行っていく必要があります。
⑥ M&Aの実施
M&A実施の目的は個々のケースで様々ですが、人手不足解消というのも目的の1つです。
M&Aの買収側であれば、買収した企業の人材を活用できます。
また、M&Aの売却側の場合も、管理者などが買収側からやってくることも多く必要に応じ人材補充を得られることが多いです。
⑦ 企業イメージの見直し
求人時の応募者数を増やすには、企業イメージの改善も有効です。
長時間労働や低賃金などのネガティブなイメージが定着してしまっている業界もありますが、求人広告の内容を見直し、業界の問題点について解決アプローチを取っていることを明確にアピールするなどの対策を行うことで、企業のイメージアップを図ることができます。
また、社員に企業のビジョンをしっかり共有することにより、社員が働くことに喜びを感じ社員が意欲的に働けば、企業イメージも上がり業務効率をアップさせ、人手不足の改善にも繋がります。
ただし、単にイメージを打ち出すだけでなく、実効性を伴っている必要があります。
⑧ アウトソーシングの導入
アウトソーシングとは、ビジネスのうち特定の業務の一部もしくは全てを専門業者へ委ねることですが、特に、バックオフィス業務の定型作業などはアウトソーシングを活用すると人手不足解消に有効です。
自社の業務を分析し、コスト面も含めて社外の活用・代行で機能するのかどうかをよく精査し、総務業務などのノンコア業務についてはアウトソーシングを導入して、利益に直結するコア業務においては自社独自のスキームが業績に貢献している場合もあるため、社内リソースで運用する方がよいでしょう。
まとめ
今回は、人手不足になる原因と対策についてご紹介しました。
人手不足は、多くの企業を悩ませる大きな問題のひとつです。
また、働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大などによる世界情勢の混乱など、企業が直面する問題が多い昨今において企業として先を見据えて人手不足対策に取り組む必要があります。
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