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上場廃止したらどうなる?

上場廃止したらどうなる?

IPOコンサル・IPO支援はBackofficeForceにおまかせ

本記事では、上場企業が上場を廃止する際の影響に焦点を当て、特に、バックオフィスの業務に及ぼす影響について詳細に解説していきます。上場廃止の基準とプロセス、それに伴うメリットとデメリットを分析し、実際の事例を通して、どのように企業がこの大きな変化に適応し管理しているかを見ていきます。

上場廃止の基準

上場廃止の基準

上場企業が上場を廃止する際には、一連の厳格な基準と手続きを経る必要があります。これらの基準と手続きは主に証券取引所の規則に基づいています。上場廃止を申請する企業は、まず証券取引所に対してその意向を正式に通知し、必要な書類を提出しなければなりません。

上場廃止の主な基準には、「株主の同意」、「財務基準の遵守」、「市場の公平性への配慮」などが含まれます。以下に、詳しく解説します。

株主の同意

株主の同意に関しては、特に重要な要素であり、多くの場合、株主総会での特別決議によって決定されます。これは、株主にとって重大な影響を及ぼすため、その同意が必要とされます。通常、株主の過半数以上の賛成票が必要とされますが、証券取引所や企業の規約によっては、より高い割合が求められることもあります。

財務基準の遵守

上場廃止を希望する企業は一定の財務状況を保持している必要があります。これには、債務超過でないこと、流動性の確保、そして一定期間内の財務報告の提出が含まれます。これらの基準は、株主や市場に対する企業の透明性と責任を確保するために重要です。

市場の公平性への配慮

市場の公平性を保つため、証券取引所は上場廃止が市場に与える影響を詳細に検討します。これには、株価の安定性や市場の流動性への影響、さらには情報開示の公正さなどが含まれます。企業が市場から撤退することによって生じる影響は、他の市場参加者にとっても重要な懸念事項となります。

このプロセスを通じて、企業は株主、規制当局、市場参加者と密接に連携しながら、上場廃止の手続きを進めます。証券取引所は、これらの基準が遵守されることを保証するため、申請された上場廃止の各案件を詳細に検討し、承認します。このプロセスは、企業が市場に与える影響を最小限に抑えるために重要であり、同時に株主と市場の信頼を維持するために不可欠です。

上場廃止のメリットとデメリット

上場廃止のメリットとデメリット

上場廃止は、企業にとって重要な戦略的決断です。そしてこの決断には、複数のメリットとデメリットが存在するため、それぞれを理解することが重要です。以下に、メリットとデメリットについて詳しく解説します。

メリット

  • コスト削減
    上場企業は、財務報告、監査、株主への情報開示などの義務に伴うコストがかかります。上場廃止により、これらの運営コストを削減できるため、長期的に経済的な利益を得ることができます。
  • 経営の自由度の向上
    上場企業は、株主や証券取引所の規制により経営の自由度が制限されます。非上場化により、これらの規制から解放され、より柔軟な経営戦略を実行することが可能になります。
  • 内部統制の強化
    上場廃止により、企業は株主への直接的な報告義務が軽減されるため、より内部に焦点を当てた経営が可能になります。これにより、中長期的な戦略に集中し、企業文化や内部統制を強化することができます。

デメリット

  • 資金調達の困難
    上場企業は株式市場を通じて資金を調達できますが、非上場化するとこの手段が制限されます。特に、大規模な投資や拡張計画の資金調達が難しくなる可能性があります。
  • 株主の信頼低下
    上場廃止は株主にとって不利益となることがあり、特に少数株主は自分たちの利益が守られないと感じることがあります。このため、株主との信頼関係が損なわれるリスクがあります。
  • ブランド価値の低下
    上場企業としての地位は、ブランド価値や信頼性を高める要因となります。上場廃止により、市場や投資家からの視認性が低下し、ブランド価値に影響を与える可能性があります。

上場廃止は企業にとって様々なメリットとデメリットがあります。重要なのは、これらの要因を慎重に評価し、企業の長期的な目標と戦略に合わせた決定を行うことです。企業は、上場廃止によってもたらされる変化を正確に理解し、それに対応するための適切な計画を立てる必要があります。

上場廃止がバックオフィスに与える影響

上場廃止がバックオフィスに与える影響

上場廃止は、企業のバックオフィス、特に、財務管理、リスク管理、法務、人事などの業務に大きな影響を及ぼします。以下に、詳しく解説します。

財務管理への影響

上場廃止後、企業の財務管理は根本的に変化します。上場企業としての義務である、四半期ごとの財務報告や監査の負担が軽減されます。これにより、財務チームは短期的な結果に集中するのではなく、より長期的な財務戦略と資本配分に注力できるようになります。しかし、これは同時に、透明性の低下と内部管理の強化の必要性を意味します。財務報告の頻度や範囲が変わるため、企業内部のモニタリングと分析システムの強化が求められます。

リスク管理への影響

上場廃止は、リスク管理にも影響を与えます。市場の変動や株価への直接的な影響から遠ざかることで、市場リスクへの対応が変化します。また、非上場企業として、資金調達の多様性の低下や、投資家との関係変化に伴うリスクが生じる可能性があります。リスク管理部門は、これらの変化やリスクに適応し、適切な対策を講じる必要があります。

法務業務への影響

上場廃止は、企業の法務部門にも影響を及ぼします。株式市場の規制から解放されることで、証券法に関連するコンプライアンスの負担が軽減されます。しかし、同時に、非公開企業としての新たな法的義務や規制への対応が必要になります。特に、私的な株主との契約や、企業の内部規制に関連する法律の遵守が重要になります。

人事業務への影響

上場廃止は、人事部門にも大きな変化をもたらします。株式オプションや従業員持株制度など、株式に基づく報酬体系の再評価が必要になります。また、上場企業としての地位が影響する採用市場やブランドイメージにも変化が生じるため、これらの要素を踏まえた人材獲得と保持の戦略が求められます。

組織構造の変更への対応

上場廃止に伴う最も顕著な変化の一つは、組織構造の変更です。バックオフィスは、新しい経営戦略や目標に合わせて部門を再編成し、リソースを再配分する必要があります。特に、上場廃止によって生じる新たな業務のニーズや、市場からの撤退に伴う業務の縮小に対応するため、柔軟性と効率性を高めることが重要です。 これらの変化に対処するためには、バックオフィスはプロセスと業務フローを見直し、組織全体の変革をリードする役割を担うことになります。これにより、企業は上場廃止による影響を最小限に抑え、非上場企業としての新たな成長と成功への基盤を築くことができるでしょう。

事例研究:成功した上場廃止のケース

事例研究:成功した上場廃止のケース

上場廃止を成功させるには、戦略的な計画と実行が必要です。以下に、実際の事例を基に、成功した上場廃止の事例を紹介し、その成功要因を分析します。

事例紹介

ある中堅規模の技術企業は、市場の変動性と成長戦略の実行に伴う課題に直面していました。上場廃止を決定し、非上場企業として再構築することを目指しました。このプロセスは、株主の同意を得ることから始まり、財務、法務、人事などの各部門が密接に連携し遂行されました。

財務戦略の再構築

上場廃止に際して、同社は財務戦略を完全に見直しました。短期的な利益追求から離れ、長期的な安定性と成長に重点を置くことにしました。これにより、研究開発への投資を増やし、新しい市場への進出を図ることができました。

リスク管理の強化

市場からの撤退により、新たなリスクが生じました。これに対応するため、リスク管理体制を強化し、特に、資金調達の多様性の低下と投資家との関係に焦点を当て、新たな戦略を適用しました。

法務・コンプライアンスの見直し

上場廃止により、同社の法務部門は証券法関連の負担から解放されました。しかし、非上場企業としての新たな規制や契約義務に対応する必要がありました。このため、コンプライアンス体制を再構築し、新しい法的環境に適応しました。

人事戦略の変化

株式に基づく報酬制度の変更と、ブランドイメージの変化に伴い、人事戦略を見直しました。特に、社員のモチベーション維持と能力の確保に重点を置き、新しい報酬体系を導入しました。

組織変革の実施

同社は、上場廃止による組織構造の変更を効果的に管理しました。中心となるのは、バックオフィスの再編成であり、新しいビジネスモデルに適応するためのリソース配分を行いました。

結論

この事例から明らかなように、上場廃止の成功は複数の要素から成り立ちます。企業は、財務戦略の再構築、リスク管理の強化、法務と人事戦略の見直し、組織変革の実施など、さまざまな面での適応が必要です。また、内部と外部の両方の利害関係者とのコミュニケーションが重要であり、これらのプロセスを通じて透明性を保つことが成功のポイントです。

まとめ

まとめ

上場廃止は、企業にとって重要な転換点です。上場廃止は単なる手続きではなく、企業の長期的な戦略と経営方針を反映する重要な決断です。上場廃止を成功させるためには、財務、リスク管理、法務、人事などの各分野における深い理解と適応が必要です。そして、全体的な組織の変革、利害関係者とのコミュニケーション、そして透明性の維持がポイントとなります。

監修|加藤 裕司(IPO事業部 部長)
監修|加藤 裕司(IPO事業部 部長)
backofficeforce株式会社(旧BackofficeForce株式会社) 執行役員 IPO事業部 部長 / 公認会計士。 中央大学 経済学部卒業後、EY新日本有限責任監査法人に入社。 2015年に加藤裕司公認会計士事務所を設立。その後2018年BackofficeForceグループに参画し現在に至る。大学3年次に公認会計士試験合格。「グローバルに活躍する公認会計士」というキラキラした肩書・経歴に憧れを持つも、「経営を舵取る人を直接支援したい」気持ちが強まり、ベンチャー支援を中心とするBackofficeForceに参画。主にIPO支援の業務を中心に従事。経理を中心としたバックオフィス支援事業の立ち上げ経験を糧に、常に現場の課題解決に軸足を置いた支援を実施。伴走することを意識したIPOコンサルで累計約40社程のIPOを支援。2021年はクライアント4社の上場を達成。IPO・上場に関するセミナーも多数開催し、各社経営陣に向け積極的にIPO・上場に関する情報提供を行う活動をしている。

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