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所得税における年金にかかる税金の計算方法を解説!

所得税における年金にかかる税金の計算方法を解説!

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本記事では、年金受給者における所得税について解説します。年金は多くの人の生活に不可欠ですが、それに伴う税金の扱いについては複雑で理解しにくい部分が多々あります。そこで、年金受給時に適用される所得税の基礎知識、課税対象となる場合とならない場合の違い、税金の計算方法、確定申告、そして源泉徴収の仕組みについて、わかりやすく解説していきます。

年金受給時に適用される所得税

所得税における年金にかかる税金の計算方法を解説!

ここでは、年金における所得税について解説します。

年金の種類と所得税の基本概念

年金と所得税の関係を理解するには、まず年金の種類を知ることが重要です。年金制度は大きく分けて、国民年金(第一号被保険者)、厚生年金保険(第二号被保険者)、および公務員などの共済組合に属する人々向けの年金(第三号被保険者)から成り立っています。これらの年金は、それぞれ異なる条件と規定に基づいて支給されます。

所得税とは、個人が一定期間内に得た所得に対して課される税金のことを指します。この所得には、給与所得、事業所得、不動産所得など多岐にわたる種類があり、年金所得もこれに含まれます。年金受給者が払うべき所得税は、受け取る年金の種類と総所得額に基づいて計算されます。

年金受給における所得税の基礎知識

年金所得に対する税金は、年金額から特定の控除(基礎控除など)を差し引いた後の金額に対して計算されます。例えば、国民年金や厚生年金を受給している場合、その年金額から所定の控除額を引いた残りの金額が課税所得となります。この課税所得に対して、所得税率が適用されることによって、年金受給者が支払うべき所得税額が決定されます。

また、年金の中には一時金(退職金など)として支払われるものもあり、これらは通常の年金収入とは異なる税率が適用される場合があります。一時金の税率は、受取る金額や個人の他の所得状況によって変わるため、具体的な税額を知るには個別の計算が必要です。

さらに、年金受給者が他に所得(例えばパートタイムの仕事や賃貸収入など)を得ている場合、その総所得に基づいて所得税が計算されます。この際、年金所得と他の所得を合算し、適用される控除を差し引いた後の金額が課税所得となり、その上で所得税率が適用されます。

このように、年金受給における所得税は、受給する年金の種類、収入の総額、適用される控除など多くの要因によって異なります。正確な税額を理解し、適切な税務対策を行うには、これらの要素を総合的に考慮することが不可欠です。

年金に所得税がかかる場合とかからない場合

所得税における年金にかかる税金の計算方法を解説!

年金受給者が所得税を支払う必要があるかどうかは、受給する年金の種類や総所得によって異なります。ここでは、年金受給における課税対象と非課税の条件、および受給年金額やその他の所得との関係について解説します。

課税対象の年金

一般的に、国民年金や厚生年金などの公的年金は所得税の課税対象となりますが、年金所得は特定の控除の対象となるため、実際に課税される金額は年金受給額よりも低くなることが一般的です。さらに、年金受給者が他に「雑所得」などの所得を得ている場合、その年金所得と他の所得を合算して所得税が計算されます。ここでいう「雑所得」とは、賃貸収入や一時所得など、他の分類に属さない所得のことを指します。

非課税の条件

所得税がかからない条件として、年金受給額が基礎控除額以下の場合があります。基礎控除は、全ての所得者に適用される控除で、この額以下の所得では所得税が免除されます。特に、年金受給額が低く、他に「雑所得」などの所得がない場合、所得税の課税対象とはなりません。

年金受給額とその他の所得との関係

年金受給額のみならず、その他の所得との合算が所得税の課税対象となります。例えば、パートタイムで働いている場合や賃貸収入がある場合、これらの所得を年金受給額に加算して総所得を計算します。この総所得が基礎控除額を超えると、所得税が課されます。

年金受給者が所得税の課税対象となるかどうかは、年金額、他の所得、及び適用される控除(基礎控除や配偶者控除など)によって決まります。例えば、配偶者控除や特定の支出に関する控除が適用される場合、課税所得額は低くなる可能性があります。

総合的な考慮が必要

年金に関連する所得税の計算には、年金受給額だけでなく、他の所得源(特に雑所得)と適用される控除を総合的に考慮することが必要です。また、所得税の計算には、年金所得に特有の控除(公的年金等控除)の他に、基礎控除、配偶者控除などの一般的な控除も適用されるため、これらを全て考慮することが重要です。

所得税がかかるかどうかの判断は複雑であり、個々の状況によって大きく異なるため、専門家との相談や最新の税法情報の確認が推奨されます。このように、年金と所得税の関係は、個人の経済状況を把握し、適切な税務対応を行うための重要な知識となります。

年金にかかる税金の計算方法

所得税における年金にかかる税金の計算方法を解説!

年金受給者が支払うべき所得税は、受給する年金額と適用される控除項目に基づいて計算されます。ここでは、具体的な計算例と控除項目の適用方法について解説します。

年金受給額に基づく所得税の計算方法

公的年金等に係る雑所得の金額は、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します。具体的には下記の表の年齢の区分および「(a)公的年金等の収入金額の合計額」に対応した「(b)公的年金等に係る雑所得の金額」の計算式を使って算出します。

   
【公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以後)】
公的年金等の係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1000万以下
年金を受け取る人の年齢 (a)公的年金等の収入金額合計額 (b)公的年金等に係る雑所得の合計
65歳未満 60万円以下 0円
60万円超 130万円未満 収入金額の合計額 − 60万円
130万円以上 410万円未満 収入金額の合計額 ✕ 0.75 − 27万5千円
410万円以上 770万円未満 収入金額の合計額 ✕ 0.85 − 68万5千円
770万円以上 1000万円未満 収入金額の合計額 ✕ 0.95 − 145万5千円
1000万円以上 収入金額の合計額 − 195万5千円
65歳以上 110万円以下 0円
110万円超 330万円未満 収入金額の合計額 − 110万円
330万円超 410万円未満 収入金額の合計額 ✕ 0.75 − 27万5千円
410万円以上 770万円未満 収入金額の合計額 ✕ 0.85 − 68万5千円
770万円以上 1000万円未満 収入金額の合計額 ✕ 0.95 − 145万5千円
1000万円以上 収入金額の合計額 − 195万5千円

引用:No.1600 公的年金等の課税関係|国税庁 (nta.go.jp)

控除項目の適用方法

所得税の計算では、基礎控除の他にも複数の控除項目が考慮される場合があります。配偶者控除は、配偶者がいる場合に適用される控除で、配偶者の所得によって控除額が変動します。また、配偶者特別控除は、配偶者の所得が一定額以下の場合に適用されるもので、所得額に応じて控除額が決まります。

その他に、扶養控除(扶養家族がいる場合)、障害者控除(障害者本人や扶養する障害者がいる場合)、医療費控除(一定額以上の医療費を支払った場合)など、さまざまな控除項目が存在します。これらの控除は、個人の状況や所得状況に応じて適用され、課税所得を減少させることができます。

総合的な計算の必要性

年金にかかる所得税の計算は、これらの控除項目を全て考慮に入れて行う必要があります。課税所得が最終的にどのくらいになるかは、これらの控除項目の適用によって大きく変わるため、個々の状況に応じた正確な計算が求められます。また、年によって控除額や税率が変更されることがあるため、最新の税法情報に基づいて計算を行うことが重要です。

このように、年金にかかる税金の計算は、複数の控除項目と受給する年金額を考慮に入れる必要があります。

年金からの源泉徴収の仕組みとその計算方法

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源泉徴収は、年金受給者が所得税を支払う際の一般的な方法です。税金が年金支払い時にあらかじめ差し引かれ、国に納付されます。ここでは、年金からの源泉徴収の仕組みと計算方法、及び確定申告との関連について解説します。

年金からの源泉徴収の仕組み

源泉徴収の仕組みは、年金支給機関が年金受給者に支払う年金額から所得税を差し引いて国に納付するというものです。この方法により、年金受給者は自ら税金を計算し、納付する手間が省けます。源泉徴収は、国民年金や厚生年金など、ほとんどの公的年金に適用されます。ただし、一定額以下の年金受給額の場合や、特定の条件を満たす受給者は源泉徴収の対象外となることがあります。

源泉徴収の計算方法

源泉徴収される税額は、年金額と公的年金等控除額に基づいて計算されます。公的年金等控除額は、年金額に応じて異なります。年金額から控除額を差し引いた残りの金額に5.105パーセントを乗じた金額が源泉徴収されます。

源泉徴収と確定申告の関連

一定の金額(65歳未満の場合は108万円、65歳以上の場合は158万円)を超える公的年金等や一定の生命保険契約等に基づく年金を受け取るときは、所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されますが、これらについては年末調整が行われないため、確定申告で1年間の税金を精算することになります。

確定申告では、年間の総所得と支払った税金の額を申告し、最終的な税額を計算します。この際、源泉徴収で支払った税金はすでに納付されているため、確定申告により実際の税額が計算された後、過払いがあれば還付を受けることができます。また、源泉徴収で不足している場合は、追加で税金を納付する必要があります。

例えば、年金受給者が他の所得を有しており、源泉徴収された税額が実際の税額に対して不足している場合、確定申告を通じて不足分を納付します。逆に、年金以外の所得が少ない場合や特定の控除が適用される場合は、源泉徴収された税金が実際の税額より多い可能性があり、確定申告をすることで過払い分の還付を受けることができます。

このように、源泉徴収は年金受給者の税金支払いを簡素化し、確定申告において重要な役割を果たします。年金受給者は、源泉徴収された税金の額と年間の総所得を考慮して、適切な確定申告を行う必要があります。確定申告を通じて、正確な税額の計算と適切な税務対策を行うことができます。

年金と確定申告

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年金受給者が確定申告を行う必要があるかどうかは、受給する年金の種類と総所得によって異なります。ここでは、確定申告の必要性、確定申告が不要な場合、さらに確定申告による税金の還付や追加徴収の可能性について解説します。

確定申告の必要性

確定申告は、年間の収入と支払った税金を正確に申告し、最終的な税額を計算する手続きです。年金受給者は、年金以外の所得が一定額以上ある場合、または年金から源泉徴収されていない場合に確定申告が必要になることがあります。例えば、パートタイムで働いて追加の収入を得ている、または賃貸収入がある場合などがこれに該当します。確定申告を通じて、年間の総所得と支払うべき税金が最終的に決定されます。

年金所得者の確定申告が不要な場合

以下のいずれにも該当する場合には、確定申告をする必要はありません。

  1. 公的年金等(その全部(※)が源泉徴収の対象となる場合に限ります。)の収入金額が400万円以下
    ※所得税法第203条の7(源泉徴収を要しない公的年金等)の規定の適用を受けるものを除きます。
  2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下

引用:高齢者と税(年金と税)|国税庁 (nta.go.jp)

確定申告の手順

確定申告が必要な場合には、以下の手順で行います。
確定申告は毎年2月16日から3月15日までの期間に行われます。申告には、年間の収入額、支払った税金の額、適用可能な控除項目などを記載した申告書が必要です。申告書は税務署で入手できるほか、国税庁のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。申告書には、年金の支払明細書、源泉徴収票、医療費控除の証明書など、必要に応じて各種証明書を添付する必要があります。申告は税務署に直接提出するか、オンラインでe-Taxを利用して行うことができます。

確定申告による税金の還付や追加徴収

確定申告を行うと、年間の正確な税額が計算されます。この結果、過払いの税金がある場合には還付が行われ、不足している場合には追加で税金を納付する必要があります。例えば、年間を通じて源泉徴収された税金が実際の税額より多い場合、過剰に支払った分が還付されます。一方で、年金以外の所得がある場合や特定の控除が適用されなかった場合には、追加の税金を支払う必要が生じることがあります。

確定申告の重要性

確定申告は、年金受給者にとって重要なプロセスです。正しい申告を行うことで、適切な税額を支払うことができ、場合によっては税金の還付を受けることが可能になります。また、必要な控除を全て申告することで、税負担を軽減することもできます。特に、医療費控除や障害者控除など、特定の条件に該当する場合は、確定申告によって税額が大きく変動することがあります。

確定申告は複雑な手続きであり、正確な申告には注意が必要です。不明な点がある場合は、税務署や税理士などの専門家に相談することをお勧めします。適切な確定申告を行うことで、年金受給者は自身の税務状況を正確に管理し、必要な税務対策を講じることができます。

まとめ

所得税における年金にかかる税金の計算方法を解説!

本記事では、年金受給者が直面する所得税の問題を詳しく解説しました。重要なのは、年金種類に応じた税金の計算、源泉徴収の理解、確定申告の必要性です。年金受給者は、自身の総所得と適用される控除項目を把握し、必要に応じて確定申告を行うことが重要です。税務に関する最新情報を常に把握し、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。

監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
慶応義塾大学商学部卒。監査法人トーマツにて会計監査、株式上場支援、企業の経営改善支援に従事。平成24年筧公認会計士事務所(現:税理法人BackofficeForce)を開設。常に現場に入り、経営者とともに課題に取り組み、経営者と常に相談しながら経営者のニーズに応え、解決策を導き出すことをモットーにしている。スタートアップ企業からIPO(上場)準備支援まで、あらゆる成長段階の企業のサポートをしており、税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティングサービスに中小企業経営者の信頼と定評を得ている。東京商工会議所専門家エキスパート、セミナー実績多数。経営者向け人気YouTubeチャンネル「社長の資産防衛チャンネル」にも出演中。

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