電子契約を導入したい!電子契約の導入にあたって押さえておくべきポイントを紹介。
電子契約を導入したいけど、なんだか難しそう、実際どうしたらいいのかわからない、という方は案外多いのではないでしょうか?
実際、電子契約の導入は容易でないのが現実です。しかし、電子契約導入によって得られるメリットは大きく、世界的に見ても大きなトレンドですし、日本でもかなり浸透してきています。
今回の記事では、電子契約の導入にあたって知っておきたいメリットと注意点、そして電子契約導入のプロセスについて解説していきます。
目次
電子契約のメリットと注意点
電子契約とは、従来の書面契約に代わり、電子データに電子署名または電子サインを行うことで締結する契約のことをいいます。
電子契約は書面契約に比べて多くの面でメリットがあります。契約業務の効率化、コスト削減、コンプライアンス強化など、企業にとっては良いことばかりです。
一方で、最初の導入のハードルが高いというデメリットがあり、それが導入の障壁となる場合が少なくありません。システムの変革は社内外の広い範囲に影響がありますし、法律や安全性の面でも注意すべき点があります。電子契約の導入には、待ち受ける様々なハードルをクリアしていくことが求められるのです。
電子契約導入のための9プロセス
どのようなプロセスを踏んでいけば、電子契約導入のハードルをクリアしていけるのでしょうか?ここからは電子契約導入のためのプロセスを解説していきます。
1.現在の契約書管理体制の把握
まずは、現在の契約書管理体制を把握する必要があります。適切な電子契約サービスの選定や、社内フローの見直しを行うためにも、現状を把握することが不可欠です。
把握するべき事項は、締結している契約の内容、契約書の種類や量、契約の意思決定プロセスや業務フロー、契約書の保管方法など、多岐にわたります。
電子契約の導入は、単に新しいシステムを導入するということにとどまりません。契約業務の根本的な見直しと再整備という、大きな変革につながるものなのです。
2.電子契約導入の目的の確認
現状を把握したら、次にやることは電子契約導入の目的の確認です。
現状の課題と電子契約で得られるメリットを照らし合わせて、導入の目的を明確化しましょう。これはのちのプロセスで重要になってきます。
3.電子契約を活用する書類の選定
目的がはっきりしたら、どの契約書を電子化するか決めましょう。
電子契約を導入した日から全ての契約書を電子化できれば良いのですが、現実的には難しい場合が多いです。取引先との調整も必要ですし、書面契約に慣れている社員の中には反発や混乱が起こるかもしれません。電子契約を定着させていくためにも、いきなり全てではなく対象範囲を絞った方が良いでしょう。
では、どこから手をつけたら良いのでしょうか?
コスト削減を考えれば、印紙税の削減のために高額な契約書から電子化するのが効果が大きいです。しかし、慣れないフローで重要な契約を行うことには不安があるかもしれません。
はじめは、重要度が低めで使用頻度が高い契約書から電子化するのがおすすめです。心理的ハードルが低く、扱う頻度が高いため、業務効率化を実感しやすく電子契約の定着につながります。
定着してから対象範囲を広げていけば、重要な契約書の電子化も安心して進められるはずです。
4.電子契約サービスの選定
電子契約を活用する書類を決めたら、次に電子契約サービスを選定していきましょう。
最近ではサービスが多数存在し、カスタマイズもかなり自在にできます。サポート体制も重要なポイントになります。よく比較検討して、自社の目的に合うサービスを導入することが重要です。
比較検討の際は「現在の契約書管理の担当者」「今後電子契約システム運用する担当者」の意見をヒアリングし、業者との打ち合わせには同席させましょう。細かいニーズや問題点を把握している担当者の声を反映させることで、導入後のミスマッチを防ぐことができます。
5.社内ルールの整備
電子契約に移行する前に、社内の運用ルールを整備する必要があります。
電子契約の対象となる契約書の種類、業務フローや承認フローを明確に規定することで、導入をスムーズに行うことができます。逆にそういったルールが曖昧だと、トラブルのもとになる可能性が高いです。
また、複数の社員がいる法人では社内規定の見直しも必要です。多くの場合契約に関する社内規定は書面契約のみを前提としているためです。
例えば、「文書」という言葉には「電子ファイル」が含まれることを明記するなど、規約を電子契約に対応した文面にする必要があります。
6.全社員への説明
電子契約を導入することを全社員に向けてアナウンスします。導入の目的を共有し、運用方法がどのように変わるか、新しいルールを周知徹底します。
ルールを定着させるために社員への説明会の開催や、実務担当者のために具体的な操作方法の勉強会も検討しましょう。運用時の問い合わせ対応マニュアルの作成といったサポートも重要です。丁寧な説明とサポート体制を整えて、不安感や抵抗感を払拭することで、電子契約の導入をスムーズに進めることができます。
7.取引先への通知・説明
取引先にも電子契約の利用の同意を得る必要があります。取引先が電子取引に対応していない場合、電子契約を利用するメリットを丁寧に説明し、相手にとってもメリットがあることを理解してもらうことが大切です。
電子契約サービスのなかには、社内外に向けた説明会や説明資料作成のサポートをしてくれるところもありますから、相談してみるのも良いでしょう。
8.効果の検証・共有
電子契約を導入した結果、どれくらいコストを削減できたのか、どれくらい業務を効率化できたのかを検証しましょう。削減できた印紙税や人件費を、具体的な数値を示して社内で共有するとよいでしょう。
数値を可視化して共有することで、効果を実感しやすくなり、電子契約へのモチベーションが高まります。
また数字だけでなく、担当者からメリットや課題をヒアリングすることも大切です。うまくいかないところは改善し、どのように解決したか共有することで電子契約のノウハウが蓄積していきます。
9.電子契約の定着と対象範囲の拡大
社内で電子契約が浸透してきたら、活用する部署や対象書類を拡大していきます。電子契約の定着までにはそれなりの時間がかかることを認識し、自社の現状に合わせて進めていくことが大切です。
システムの導入はゴールではなく新しいスタートです。運用の改善、拡大を進めていくことで、電子契約導入のメリットを最大化していきましょう。
まとめ
多くのメリットがある電子契約ですが、導入のハードルは高く、導入にあたっては、そのハードルをクリアしていく必要があります。
まず現状を把握し、目的を明確化すること。そして、導入には時間がかかるという前提で、スモールスタートしていく。社内ルールの変更、社内外への説明を経てシステムを導入し、定着させていく。
プロセスを踏んで電子化を達成した先に大きなメリットがあります。
いかがでしたか?電子契約導入は大きな変化を要します。必要なプロセスを理解して導入することで、変化に伴う混乱を最小限に抑えることができます。
電子契約のスムーズな導入に役立てば幸いです。
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